レッサーパンダ(小熊猫)の情報を提供。Pop'n Callは動物園・遊園地を対象に活動しています。

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レッサーパンダについて書いてある書籍から、関係する部分を抜粋し紹介しています。
このページ内の文章はすべて引用文です。

調査


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世界の動物 分類と飼育2 「食肉目」

パンダ科Ailuropodiaeは、2属2種で構成される科で、中国南部からヒマラヤにかけての高山にレッサーパンダが、中国南西部の高山にジャイアントパンダが分布しています。
主に竹林に単独で生活しています。
本質的には雑食性ですが、植物食の傾向が強くなっています。
前肢、後肢ともに指は5本で、足の裏には毛が生えていて蹠行性です。
前足には他の指と対向するように、「第6の指」と呼ばれる特殊な突起がありますが、これは指ではなく、手首の骨の一つである種子骨が変化したものです。
この突起と他の指とを使って物を持つことができますが、ジャイアントパンダの方がこの突起は良く発達しています。肛門周辺には肛門腺があります。
盲腸はありません。
妊娠期間は3〜6ヶ月で、ふつうは1産1〜2頭ですが、まれに3頭、レッサーパンダの場合には4頭のこともあります。受精卵の着床遅延があるといわれています。
ジャイアントパンダとレッサーパンダの分類についてはいろいろな説があります。
両種をアライグマ科にする説、ジャイアントパンダだけをクマ科あるいはパンダ科とする説もありますが、ここでは最近のコーベット等(Corbet and Hill,1986)に従い、両種をパンダ科とする説を採用することにします。


【大きさ】
体長50〜60cm、尾長30〜50cm、体重3〜4.5kg。


【特 徴】
頭は丸く、耳は割合大きくて三角にとがっています。
体の毛はやわらかくて長く、尾は長くてふさふさして、淡い褐色のリングがあります。
背中は濃い栗色、耳の裏側、四肢、腹側は黒っぽく、鼻口部、唇、頬、耳の先は白色です。
爪は半ば引っ込めることができます。
前足にはジャイアントパンダ程ではありませんが、手首の骨が変化した特殊な突起があり、これと他の指とを使って物を持つことができます。肛門周辺には肛門腺があります。
乳頭は8個です。歯式は3/3・1/1・3/4・2/2=38。


【分布その他】
中国の雲南省、四川省からアッサム、ネパール、ビルマ北部の標高1,800〜4,000mの森林や竹林にふつう単独で暮らしています。
昼間は休息していることが多く、主に日暮れ、夜間、明け方に活動します。
竹や筍のほかに小さな哺乳類、鳥、卵、果実などを食べています。
木登りは上手ですが、採食は地上でおこないます。出産は春と夏に木の洞や岩穴で行われます。
妊娠期間は90〜150日と幅があります。これは受精卵の着床遅延があるためではないかといわれています。
ふつう1産1〜2頭ですが、まれに3〜4頭の場合もあります。
子は生まれたとき、体重100〜130g、体長15cm前後で、約1年間は親の元にとどまるといわれています。
寿命は飼育下で13年5ヶ月という記録がありますが、8〜10年がふつうです。
〔CITES・2,RDB・K〕


【亜 種】
(1) ネパールレッサーパンダ fulgens F.Cuvier,1825

ネパールからアッサムまでのヒマラヤに分布しています。
(2) シセンレッサーパンダ styani Thomas,1902

ビルマ北部から中国に分布しています。

前亜種に比べて体が大きく、額の部分が高く、体色が濃いのが特徴です。


【食肉目の系統進化と分類】
「B.クマ上科 Arctoidea」
パンダ科 Ailuropodidae
頚動脈管が後破裂孔内に開き、後口蓋孔が上顎口蓋縫合より後ろにあり、上の裂肉歯の内側に錐が2個ある先祖から生じたと推定される種の集団で、アライグマ科とクマ科の中間のものです。
内側に2個の錐を備えた上の裂肉歯は、この科とアライグマ科以外には見られない特徴です。
この歯の歯根が3本のところもアライグマ科と同じで、錐が1個、歯根が2本しかないクマ科と違っています。
しかし、頚動脈管が孔破裂孔内に開くのはクマ科と同じで、それが聴胞の内側壁に開くアライグマ科とはっきり違っています。
後口蓋孔が上顎口蓋縫合より後ろにあるのはアライグマ科ともクマ科とも同じです。
臼歯は上に2対、下に2〜3対あり、胸椎は13〜14個、腰椎は4〜6個、上腕骨には内側上カ孔があります。
レッサーパンダは外形と下の臼歯が2対で、仙椎が3個のところがアライグマ科に等しいのに対して、ジャイアントパンダは外形と下の臼歯が3対で仙椎が5個のところがクマ科に似ています。
しかし、レッサーパンダにはアライグマ科にない翼蝶骨管があって、この点ではクマ科に似ているのに、ジャイアントパンダは翼蝶骨管を持たず、腰椎が4〜5個の点でクマ科(腰椎が6個)と違っています。
このためジャイアントパンダだけをパンダ科とし、レッサーパンダをレッサーパンダ科Ailuridaeとすることもあります(Pocock,1941)。
ここでは、これらを別亜科とみなしました。
パンダ科の最古の化石は中新世前期にヨーロッパとアジアにいたシバナズアSivanasuaです。

近年、DNAのヌクレオチド配列やアルブミンの免疫反応などによって分類群の間の類似度を調べる分子分類学が急速に発達してきました。
この方法でパンダ、レッサーパンダ、ヒグマ、アメリカグマ、マレーグマ、ナマケグマ、メガネグマ、およびアライグマの間の類似度を調べたところ、パンダはクマ類に近く、レッサーパンダはアライグマに近いことがわかりました(Wayne,R.K.etal.,1989)。
しかし、パンダがクマ類に比較的近いといっても、クマ類同士の類似度の距離に比べるとはるかに遠くに位置していますから、これをクマ科の一員と認めてよいかどうか疑問があります。
また、レッサーパンダがアライグマに近いといっても、アライグマ科の他の種とは比較していませんから、この場合も結論を出すのは早すぎるようです。
というのは、頭骨、歯その他の形質100個を総合して比較した数量分類では、レッサーパンダがアライグマ科と類似度が低く、パンダとともにクマ科の一員とした方が自然だと見られる結果が得られているからです(Wozencraft,W.C.,1989.In Carnivore Behavior,Ecology,and Evolution.Edited by Gittleman,J.L.Comstock Pub.Ass.,Cornell Univ.Press.,1989.)。
しかし、2種類のパンダをクマ科に含めると、クマ科に共通でアライグマ科と違う特徴としては、頚動脈管が孔破裂孔に開くことくらいしかなくなり、他の科に見られるようなまとまり(これは多数の形質を共有することによって生じます)がなくなってしまいます。
これは科という分類群として、あまりにも不自然ではないでしょうか。


【絶滅への心配度・ワシントン条約との関係】
RDB:
野生での絶滅が心配される動物たちについて、その詳細なデータをファイルした資料に、Red Data Bookと呼ばれるものがあります。(1990 IUCN Red List of Threatened Animals)

Ex(Extinct)絶滅: 過去50年間、生存が確認されていないもの。
E(Endangered)危機: 減少の原因が継続すれば、絶滅してしまうと考えられるもの。
V(Vulnerable)心配: 減少の原因が継続すれば、絶滅の危機に近づくと考えられるもの。
R(Rare)稀少: 現在のところEやVではないが、生息数が少ないもの。
I(Indeterminate)未決: E、V、Rのいずれかに該当すると考えられるが、十分な情報がないため決定できないもの。
K(Insufficiently Known) 
情報不足:
数が少ないが、情報不足のため上記のランクに該当するかしないかが判断できないもの。
T(Threatened)
脅かされている:
上記のいずれかに、いくつかの亜種が該当しているもの。

CITES:
Convertion on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称ワシントン条約)では、商取引により絶滅の恐れがある動物を指定して、その輸出入を規制しています。


1
ワシントン条約の付属書に該当するもので、取引が最も厳重に規制され、商業的目的の輸出入は禁止されています。

2
ワシントン条約の付属書に該当するもので、輸出国の許可書があれば商業取引もできます。

3
ワシントン条約の付属書に該当するもので、いずれかの国での保護を徹底するために輸出を規制しています。その国からの場合は輸出許可書が必要で、その他の国からの場合は原産地証明書が必要となります。



書籍情報
発行元) 財団法人東京動物園協会
発売元) 株式会社どうぶつ社

世界の動物 分類と飼育2 「食肉目」

1991年11月13日発行

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